10月
09
黒くて丸い空 3
暗室に戻ると印画紙をカメラの中から取り出し、現像液の中に浸していく。
オレンジ色の光の中で、印画紙の表面に徐々に像が現われ始める。初めてピンホールカメラに触れた人はやはりこのときまで半信半疑のようで、「本当に写るんだ!」という声がたいていの場合どこかから聴こえる。
たとえば、このような像が浮かび上がる。
これは生徒の一人が撮影したものだが、ピンホールカメラで撮影した印画紙は例外なく、まずは逆像として現れる。
ネガフィルムを見ているようだが、これは紙だ。絵はフィルムと同様にネガティブ、つまり実際明るいところが黒く、暗いところが白く出てくる。昼に風景を撮影した場合、たいてい最も光満ち溢れている部分は空なので、真っ黒な空が現れるのだ。
(つづく)