10月
09

黒くて丸い空 3

posted on 10月 9th 2010 in 毒にも薬にもならない with 0 Comments

暗室に戻ると印画紙をカメラの中から取り出し、現像液の中に浸していく。

オレンジ色の光の中で、印画紙の表面に徐々に像が現われ始める。初めてピンホールカメラに触れた人はやはりこのときまで半信半疑のようで、「本当に写るんだ!」という声がたいていの場合どこかから聴こえる。

たとえば、このような像が浮かび上がる。

 

これは生徒の一人が撮影したものだが、ピンホールカメラで撮影した印画紙は例外なく、まずは逆像として現れる。

ネガフィルムを見ているようだが、これは紙だ。絵はフィルムと同様にネガティブ、つまり実際明るいところが黒く、暗いところが白く出てくる。昼に風景を撮影した場合、たいてい最も光満ち溢れている部分は空なので、真っ黒な空が現れるのだ。

(つづく)

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石川拓也 写真家 2016年8月より高知県土佐町に在住。土佐町のウェブサイト「とさちょうものがたり」編集長。https://tosacho.com/