1月
14
料理の腕は
実は意外と料理するのが好きだ。
最初は一人暮らしの必要に迫られてやっているうちに、次第に面白くなっていろいろ作るようになった。
生活の中での料理なので、カッコいい凝った料理には全く縁がなく、普通のおいしい料理を、安く手際良く作れることが理想形だ。
台所には料理本が十数冊並んでいるが、そちらも内容は普段のおかずだったり節約系のものが多い。
なので変哲のないありふれた料理を、パッと手際良く、それでいて感動するぐらいおいしく作れる人を見ると無条件で尊敬してしまう。そしていつか同じようになりたいと思う。
そしてそれ以上に尊敬の念を持ってしまうのは、冷蔵庫の余り物で奇想天外な、でももちろんおいしい料理をこしらえてしまうような人だ。ノープランと思いつきを武器に食材と戦う姿は、楽譜なしであえて即興の世界に飛び込むフリージャズ奏者の姿に通じるものがある、と勝手に思う。
そんなようなことを、一人で食べた晩ご飯の合間に考えていた。
冷蔵庫の余り物、マイタケとハムを炒めて片栗粉でとろみをつけ、卵でとじたなんとも言いづらい食べ物。曲になる前に瓦解したバンドのどこまでも微妙な音色、そんな感じの味がした。