弁護士マイケル・J・フォックス
ここ最近アメリカのTVドラマ「グッド・ワイフ」を観ている。
法廷モノの骨太なストーリーももちろん面白いのだが、シーズン2から出演しているマイケル・J・フォックスを観たいのが大きな理由だ。
このドラマでマイケルが演じているのはルイス・ケニングという弁護士で、同じく弁護士である主人公から仕事を奪おうとするライバル役だ。
よく知られているように、マイケル本人は長いことパーキンソン病を患っている。俳優業から完全に引退していた時期もあったらしい。僕も名作映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」前後のマイケル作品(「ファミリー・タイズ」から「摩天楼はバラ色に」ぐらい)はよく覚えているだが、近年は姿を見ることもなかった。
それがここに来て、ひとクセもふたクセもある老獪な弁護士としての復帰である。悪役である。おもしろくないわけがない。
劇中のケニング弁護士は遅発性ジスキネジアという難病を患っているという設定で、何かというと裁判長や陪審員の同情をその病でもって買おうとする。裁判が始まる際には必ず病気の説明、契約しようか迷っている依頼人にも必ず病気の説明で、周囲の気持ちを引っ掻き回そうとするシーンが非常によくできていると思う。
なによりも、現実に病を抱えている俳優を、病名はまったく同じではないにしろ病を抱えているという役柄をあて、思う存分演技できるような場を用意できるアメリカTV界の懐の深さに、ただただ脱帽である。そのうえ絶妙に複雑な精神を持つイヤな奴という役を与えた脚本の妙手も、これまた脱帽である。
難病によって自身の体が思うままにならないハンディを、頭の切れるイヤな奴が武器として使う。そこにはマイケルが弱者を装うことで弱者ではなくなるという逆説的な状況ができあがる。
ついつい、観てしまう。
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