6月
15

ひとの失敗を笑うのはいけないことだ

posted on 6月 15th 2010 in 毒にも薬にもならない with 0 Comments

初めてだったのか。緊張していたのか。

僕は京成線沿線に住んでいる。

都心から帰ってくる場合、最寄り駅の手前にさしかかると車掌さんのアナウンスが入る。

「北総線直通印西牧の原行き電車は、2番ホームでお待ち下さい。」

漢字が多くて読みにくいが、ひらがなだと

「ほくそうせんちょくつう、いんざいまきのはらいきでんしゃは、、、」になる。

今夜も、ちょっと鼻に抜ける高めの声でアナウンスが入った。

「ほ、本日も、京成線をご、ご利用いただきましてありがとうございます。」

なんだ? 今日は調子悪いのか? と思った一瞬後、事件は起きた。

「ほ、ほくちょーちぇんちょくちゅう、い、い、いんぢゃいまきのはらいきでんちゃは、、、。」

まったく言えてない。「子供かよ!」「甘えんぼかよ!」乗客が数人、素敵なツッコミを入れる。

アナウンスは3秒ほど沈黙し、彼が最初から言い直すのかと僕は思ったが、

「、、、2番ホームでお待ち下さい。」

何事もなかったかのようにスルーした。電車の中は明るい笑いに包まれた。

僕も笑った。駅から家に歩きながら、何度か思い出し、また笑った。

ひとの失敗を笑うのはいけないことだが、笑って、書いた。

伝われば、うれしい。

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石川拓也 写真家 2016年8月より高知県土佐町に在住。土佐町のウェブサイト「とさちょうものがたり」編集長。https://tosacho.com/