Monthly Archives: 10月, 2010

10月
15

谷村美月 x AGRIZM

posted on 10月 15th 2010 in photographs with 0 Comments

 

ひさしぶりに女優の谷村美月を撮影した。

写真はコチラから

彼女を初めて撮影したのは確か06年の初春で、行定勲監督の「ユビサキから世界を」という映画の撮影にスタッフとして参加したときだった。

ロケ地は山形だった。

出発前の東京は汗ばむほどに暖かくなっていたので、まったく何も考えずそのままの身なりでロケに参加したのが大失敗で、初日で粉雪がちらつくほどの凍てつきようの中、骨の芯まで冷え込みながら撮影したのを覚えている。

大体、映画の撮影というのはどういうわけだか徹夜の連続というのが相場になっている。

それが映画の現場は初体験だった僕は、徹夜に対する心の準備と寒さに対する衣服の準備を二重に失敗してしまって、4、5日が過ぎる頃にはもう音をあげる寸前まで追い込まれていた。

休む間もない過酷な現場で、それでもヘコタレていられない、と思わせてくれたのが主演の谷村美月が演技する姿だった。

ストーリー上の設定のため、水をかけられても、泥だらけにされても、あげくの果てには真夜中から夜明けまで顔だけ出して地中に埋められても、文句一つ言わない事はもちろん、キラキラとした演技を淡々と続けていた姿を見てしまっては、水も泥もかけられてなく埋められてもいない僕が音を上げるわけにはいかなくなってしまったのだ。

 

今回はAGRIZM(アグリズム)という農業系雑誌のグラビア撮影をした。

奥多摩の農家の古民家や田畑をお借りしてのロケになった。農業系の雑誌なのでグラビアも「農」から離れることはないのだ。

レンズを通して数年ぶりに谷村美月を見て、どことなく大人びてきたと思う。それはそうだ。「ユビサキから世界を」のときが彼女は16才で、いまはもう20才になった。その年頃の4年間というのは少女が大人の女性になるには十分な時間だろう。

そうして撮った写真に編集者がつけたタイトルは「登熟期」だった。

 

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10月
09

黒くて丸い空 3

posted on 10月 9th 2010 in 毒にも薬にもならない with 0 Comments

暗室に戻ると印画紙をカメラの中から取り出し、現像液の中に浸していく。

オレンジ色の光の中で、印画紙の表面に徐々に像が現われ始める。初めてピンホールカメラに触れた人はやはりこのときまで半信半疑のようで、「本当に写るんだ!」という声がたいていの場合どこかから聴こえる。

たとえば、このような像が浮かび上がる。

 

これは生徒の一人が撮影したものだが、ピンホールカメラで撮影した印画紙は例外なく、まずは逆像として現れる。

ネガフィルムを見ているようだが、これは紙だ。絵はフィルムと同様にネガティブ、つまり実際明るいところが黒く、暗いところが白く出てくる。昼に風景を撮影した場合、たいてい最も光満ち溢れている部分は空なので、真っ黒な空が現れるのだ。

(つづく)

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黒くて丸い空


黒くて丸い空 2

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