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“After The Rain” はピアニスト内田輝が湯布院の Cafe & Gallery Creeks で演奏し録音したアルバム。6月の録音の際に僕は偶然立会い、これまた偶然ビジュアル面で協力することに、いつの間にかなっていた。
しばらくこのプロジェクトの首謀者であるCreeksの谷川義行氏からの音沙汰はなかったのだが、今日彼が上京した際に久しぶりに会い、僕の撮った写真がジャケットに配されたCDを受け取った。
上の写真は受け取った時にいた、錦糸町の場末感漂う喫茶店で撮影したもの。
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ありがとう由布院、また来ます。
今回はなんといっても僕にとって大切なこの場所で、翻訳家の柴田元幸さんと一緒に仕事できたことが嬉しかった。
柴田さんにはステージでの朗読と言葉についてのワークショップを2回ずつしていただいたのだけれど、あんな細い体のどこにそんなエネルギーが潜んでいたのかと思うぐらい、観客を圧倒するようなパフォーマンスに驚きっぱなしだった。
特に朗読での、作品世界(オースター、ダイベック、エヴンソンなどの短編)が乗り移ったような、多少狂気を孕んだようなステージには由布院の森に集まった人たちの多くが「こういうの見たことなかった」と驚いていたし、「演劇を1本見たようだった」という感想もチラホラ聞かれたので、大成功といっていいんじゃないかと思っている。
* * *
個人的には奥さまと3人での食事の際に、翻訳界または英米文学界の裏話をたっぷり聴けたことは役得というか望外の喜びというか。
20代のNY在住時代、僕が原書で楽しく読めた唯一の小説がブコウスキーで(他は難しくてつっかえる)、リヤカーの上に本を並べて売ってるストリートの本屋で次々とブコウスキーの著書を買ってむさぼるように読んでいた時期がある。
その話をすると柴田さんは、「それはブコウスキーに友達がいなかったからじゃないかなあ」と一言。
つまり非ネイティブが読みやすい英語の条件は、
スラングを使ってない文章ということ。
(確かにブコウスキーはスラングを使わない)
スラングは仲間内で使う独特な言い回しが基本にあるので、友達のいないであろうブコウスキーはスラングを使う理由も必要もなかったんじゃないか、と。
おお、なるほど〜。
さらにイーストビレッジの名店、セントマークス・ブックショップ(移転したそうだ)にはブコウスキー、ケルアック、バロウズなんかの著書は置いてないそうで、理由は人気があるので万引きされるからだという。
その万引きされた本たちがどこへ流れて行くのかというと、
「ストリートのリヤカー本屋じゃないかな」と。
そういえばそういったリヤカー本屋に置いてある本は、全くの新品なのに何故だか少し安かった。
当時、極貧と言っていいぐらいの生活で、あるとき普通の本屋よりリヤカーの方が少しだけ安いってことに気づき、以来本はずっとそこでばっかり買っていたけれど、知らず知らずのうちに盗品を買っていたってことになるのかもしれないな。
盗っ人の片棒を担ぐってこういうことを指すのだろうか。
おお、なるほど〜っと長年の謎が解けた瞬間でもありました。
とにもかくにも、柴田さんご夫妻、共演のAOKI,hayatoさん内田輝さん両人、由布院関係者各位並びにWaltz of the rain参加者観客の皆様に深く感謝です。
さ、東京いくぞー。
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