4月
13

ラサに行ってもいいですか? | 偽装中国人バスの旅 20

posted on 4月 13th 2014 in 1995 with 16 Comments

20

薄暮の中、バスのヘッドライトが赤白に塗られたゲートを照らしていた。

これまでの検問ではただ小さな小屋とテーブルがあるだけだったので、ゲートの威圧感は僕をほとんど恐慌と言っていいほどの不安に巻き込んだ。

バスが停車した時にはゲートの周囲に誰も見当たらななかったのだが、1分も経たないうちにどこからか制服の集団があらわれた。およそ10人。

エンジンを止め、バスの運転手が緩慢な動作で外に出て行った。

集団の内からひとりの公安が進み出て、運転手となにごとかを話しはじめた。外の暗さもあって、制服の集団は全員が同じような顔に見えた。

しばらく話し込んだ後、運転手がバスに戻ってきて助手席の下から書類の束を取り出し、また公安の方へ戻っていった。日本で言えば車検証や営業許可証や、そんな類いの書類なのだろうか。

中国人はうるさいほど声が大きいはずなのに、このときはヒソヒソと声をひそめて話しているようだ。

まさか「外国人がひとり乗っている」なんて話していないよな。無関心を装いながら、内心では鼓動が早くなってきているのを感じた。早く、早く出発しようぜ、と祈るような気持ちで座席に沈み込んだ。

話し合いが長い。

(つづく)

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石川拓也 写真家 2016年8月より高知県土佐町に在住。土佐町のウェブサイト「とさちょうものがたり」編集長。https://tosacho.com/

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