East Meets West 東洋と西洋の違いがわかる?
「East Meets West」というタイトルの本がおもしろい。
グラフィックデザイナーのヤン・リウ(Yang Liu)が描いた、東洋と西洋の文化的な差異をミニマルな図でわかりやすく提示したもの。
例えば非常口を示す標識や、地下鉄の路線図なども含めて、こういったものをインフォグラフィックと呼ぶ。
作者のヤンは中国生まれで14歳の時にドイツに移住したのだという。2つの文化を行ったり来たりした、その経験がこうしたモノの見方を育んだことは間違いない。
具体的には中国とドイツの狭間に揺れながら練られた表現なのだろうが、日本人も東洋側の文化圏の人間として、うなずけるイラストは多々ある。
一方、うなずけないものもいくつかあって、なぜかと考えてみるとそのイラストに関しては日本は西洋と同じ立場に立っていたりする。
そんなところは中国と日本との差異だったりするのだろう。そんなことも少しおもしろい。
うなずけるものから少し見ていこう。
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特に「感情表現」「自我」「上司」の3つにはうなずいてしまった。というか唸ってしまった。
昔、友人がトランスパーソナル心理学なる学問を熱心に学んでいたことを思い出した。
それはとても簡単に説明すると、集合的無意識や超個人間の意識についての研究だったと記憶している。
友人曰く、その「超個」いわゆる「個」を超えたところにある心理学をやるためには、確固とした「個」の確立が大前提としてあって、強力な「個=自我」が確立している西洋でならいざ知らず、「個」がそれほど強くなくおぼろげな存在である東洋ではあまり向いてない学問なのだと。
東洋では「個」を確立するよりも、小さな「個」を大きな集団的意識に委ねる方をよしとする。なんていう話を思い出したのだが、長々とした僕の思い出なんかよりも、切れ味の良いこのイラストを見れば一発で理解できるって話だ。
次にうなずけないものはどういうものか。
レストランのノイズレベル
順番待ち
時間厳守の意識
上の3つに関しては、日本人は左の青いイラストの方に近い気がする。
考えてみるとこの3つは社会的マナーに関してのものだということがわかる。このあたりのことは、神経質な日本は左の西洋に近いのだろう。騒音も割り込みも遅刻も、日本ではけっこう眉をひそめられる行為であることは言うまでもない。
ただ僕の個人的感覚では、「時間厳守の意識」に関してだけは赤のイラストに近い、ような気がする。
だから青いほうの感覚を持った人々に僕は怒られる。
今日もまた。明日もまた。
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