大掃除にて思う
かつてないほどの大規模な大掃除を、今年のこの時期は敢行している。
ここ数年、いつか使うかもしれない、と思い家のあちこちに溜め込んでいた決して使うことのないモノモノを、勇気を持って捨てることにした。
必要最低限のものだけ残す、という覚悟で家の中を見渡してみると、余りにも必要のないモノが多いことに気づく。いつの間にこんなにモノ持ちになったのか、愕然としてしまう。
これは要らない、あれも捨てる、とみるみるうちにすっきりしていく家の中を見ていると、このまま全てのモノを捨ててしまって、完全な裸一貫になってしまいたいという欲望を覚える。
背中に背負えるだけの荷物を持って、身軽にこの世を生きていけたらどれほど気持ちが良いのだろう。
本当の意味で生きていくために必要なモノの量はどのくらいなんだろう?とゴミを分別しながらぼんやり考えていたりするのだ。
東京大震災で被災した人が、「全てを失ってとてもすがすがしい気分がした」と語っていたのを読んだか聞いたかした記憶がある。不謹慎かもしれないが、僕にはその人の気分がとても良くわかるような気がする。本当は、人間がひとり生きていくために必要なものなんて、カバン一つに収まってしまうくらいのものでしかないのだろう。快適だから、便利だからとモノを増やしていくうちに、気づけばモノに囲まれて身動きの取れなくなった自分がいる。生きていくために、と際限なく買い続けるモノモノは、本当に生きていくために必要なんだろうか?
そんなことを考えながらも、そろそろ新しい冷蔵庫欲しいな、なんて思っている自分もいたりするわけで、これは全く矛盾している。
物欲と捨てたい欲の間でふらふら行ったり来たりしながら、この矛盾もきれいさっぱり捨て去れないだろうか、と願ったりしてみるが、大掃除のようにはいかないようだ。