11月
29

45年物のロックバー | 稲毛フルハウス

 

僕は千葉市で育った。

最寄駅はJR稲毛駅で、高校を卒業して埼玉で一人暮らしを始めるまでは毎日のように来ていた場所だ。

その後僕は日本を出て旅を続け、そのままアメリカに住み着いてしまったので20代はほとんど稲毛を訪れていない。

30手前にして日本に帰国したが、その後すぐに東京に居を移したのでそれからもあまり訪れることがなかった。

それが最近になって、稲毛出身の若い友人や高校の一つ上の先輩と知り合ったおかげで、高校時代もほとんどしていない「稲毛で飲む」という行為をするようになった。

高校の一つ上の先輩というのはその辺りの地元で商売をしている人で、稲毛駅前にやたら詳しい。本人は否定するが僕には少なくともそう見える。

その先輩にある夜、2軒目で連れて行ってもらったお店のこと。

 

そのお店はフルハウスという。

思いっきり稲毛駅前の、雑居ビルの2階にある。ロックバーである。

店内は程よい音量でロックがかかっている。

聞くところによると、フルハウスは日本で2番目に古いロックバーなのだという。

年中無休で営業を続け、来年6月に45周年を迎えるという。

僕の地元とも言える稲毛に、渋谷や下北沢ならともかく、ほかならぬ稲毛にそのようなお店があるなんて全く知らなかった。

45周年ということは74年生まれの僕が生まれる前から余裕で開店していたってことだ。僕が中学や高校時代に稲毛駅に来ていたときだってフルハウスのマスターは毎晩店を開け、客はここに集っていたってことだ。

下の写真はマスターの写真アルバムからのもの。70年代が色濃く写っていて、「ジョージ・マロリーはどこに」にも似たようなことを書いたのだが、写真の根源的な強さを感じてしまう。

その瞬間を切り取って冷凍保存したような鮮烈な強さ。

稲毛恐るべし。

灯台下暗し。

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石川拓也 写真家 2016年8月より高知県土佐町に在住。土佐町のウェブサイト「とさちょうものがたり」編集長。https://tosacho.com/

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