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「カメラってどれ買ったらいいの?」という問いに対する写真家の答えとは

posted on 2月 1st 2016 in カメラ with 0 Comments

「カメラってどれ買ったらいいの?」

長らく写真家をやっていると、数え切れないほどこの質問をされます。

そういう質問には、バシっと「これいいよ!」と言いたいところなんですが、毎回なんというかグズグズなお茶を濁した感じで会話が流れてしまってるんですね。確実にスベってる。




なぜそうなってしまうのか。これって実はマジメに考えれば考えるほど、バシっと答えられない難しい質問なんですよ。

なぜならカメラはあくまで道具でしかないから。

 

■どんな写真を撮りたいのか?

そんな質問の答えの先に、その時のその人に合ったカメラがあるはずで、そういったことを踏まえるとなおさら「これがいい!」とバシっと言えなくなってきます。

だからああでもないこうでもないとグズグズした会話になってしまいがちなんですが、今日はそれをやめてあえてバシッと断定してみようと思います。

もちろんひとつを選ぶなんてことは到底できそうにないので、いくつか「買う側の人のカテゴリーを分けた上でのバシッと」をやってみたいと思います。

ここで紹介するカメラはすべて僕が使ったことあるものに限ります。所有したことはなくても「触ったことがあるもの」が最低ライン。執筆は2016年2月です。

 

■ ポケットに入れて、とにかく手軽に撮影できるお散歩カメラ

 

Canon デジタルカメラ PowerShot G7 X 光学4.2倍ズーム 1.0型センサー PSG7X
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CANON PowerShot G7 X

これ、僕も持っていて使っています。

カメラに優劣をつける場合、このG7Xみたいなコンパクトデジタルは、デジタル一眼レフに比べて劣っていると見られがちですが、それは少し違います。

その二つを比べるということは、例えば「野球のピッチャーとキャッチャーはどっちが優れているか?」と考えるのと似ているので、あまり意味はないです。比べるなら「ダルビッシュとマー君はピッチャーとしてどっちが優秀か?」という問いでないと意味がないですよね?

G7Xなどのコンデジ(コンパクトデジタル)はポケットに入るし軽いし気軽に使える。

それは一眼レフにはないコンデジの魅力だったりします。

そのコンデジというジャンルで考えると、G7Xに限らずCanonのPowerShot系はかなり完成度が高くコスパもいいんじゃないかと思います。

ウェブで使う写真の場合には十分すぎるほどの解像度もあるし、被写体を警戒させないという利点もありますね。手のひらにすっぽり入るぐらい小さいので。

 

そういう意味では下のG1 X Mark Ⅱも素晴らしいんですが、こちらはG7Xに比べると少しゴツいです。

 

Canon デジタルカメラ Power Shot G1 X Mark II 光学5倍ズーム F値2.0 PSG1X MARKII
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お散歩カメラとして考えるとG7 Xがいいんじゃないかと思います。
昨年の夏には上の7G Xを防水ケースに入れて、地中海の海の中を撮影しました。

 

Canon ウォータープルーフケース WP-DC54
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数十万円する一眼レフを海の中に入れるのは、水中カメラマンでもない限りなかなかできないですよね。

ただG7 Xぐらいなら万一水没してしまったとしてもしょうがないと思える(?)のかなと思います。

■ 料理や商品などをきれいに撮りたい、発表はウェブだけ、印刷しない人

 

SONY ミラーレス一眼 α7 II ボディ ILCE-7M2
ソニー
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Sony α7 Ⅱ

本来ここはCANON EOS KISS X8iを紹介しようと思っていたのですが、Sony α7 Ⅱを思い出して変更。

これは僕は持っているわけではなくて、知人に使わせてもらっただけなのですが、とてもバランスのとれた使い勝手の良いカメラだと思いました。僕の周囲の評判もメチャメチャ良いんですよね。

ただ最初に挙げた「料理や商品などをきれいに撮りたい、発表はウェブだけ、印刷しない人」という対象にとっては、16万円強というのは少し高すぎるかもと思っています。

いろいろと万能なカメラですが、その値段分は使いきれないケースも想像できます。そんな気合入ったのじゃなくていいんだよ、って人にはやはり下のEOS Kiss X8iをお勧めします。

値段もお手頃、一眼レフなのでレンズの買い足し・交換もOK、ちゃんと写真の基礎を学べば、ピントを一点に当てて背景はボケボケなんていう写真も楽勝で撮れちゃいます。

もっと言っちゃうと、今のこういったカメラはかなり賢いので、ちゃんと写真の基礎を学ばなくても実は撮れちゃうんですけど。

僕の中ではコスパはナンバーワンなカメラです。

 

 

■ プロ仕様のもの・様々な撮影に対応したものが欲しい人

 

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 5Ds R ボディ 5060万画素 EOS5DSR
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CANON 5DsR

キャノンに偏っていてニコンユーザーの方すみません。僕自身がキャノンユーザーなもんでこうなっちゃいます。

5DsRは現在僕もメインで使っているカメラです。2015年6月発売のモンスターマシンです。キャノンは5Dのラインを5D Mark Ⅱ →  5D Mark Ⅲときて突然のジャンプを5DsRでやっちゃいました。

カメラを解像度だけで比べようとするのはあまりよろしくないのでしょうが、

5D Mark Ⅱ 2010万画素

5D Mark Ⅲ  2230万画素

5DsR       5060万画素

倍以上のジャンプ!

これはニコンのD800 (3600万画素)に対抗しての数字なのでしょうが、この画素数バトルは正直あんまり有効だとは個人的には思ってません。

おそらく非常にサイズの大きい駅貼りポスター以上の出力の場合には実力を発揮できるかもしれません。が、仕事で写真を撮っている人でない限り、そんなサイズの出力はほぼないでしょう。

僕はこのカメラを導入以前は5D Mark Ⅱを使っていて、その時には新宿駅に貼る映画ポスターの撮影などもしましたが、2010万画素でも十分いける。

大きいサイズで印刷した場合、見る人はポスターからある程度離れて見ることになるため、やはり画素数バトルはもう意味をなさないレベルまで来ているといったところでしょう。画素数の進化に印刷機器がついていけてないという意見もありますし。

僕が撮影した駅貼りポスターはこちら

特にウェブ上での写真をメインに考えている人には明らかなオーバースペックになるでしょうね。データの一枚一枚がバカ重いので、パソコンの挙動が非常に遅いというのも少し問題です。

はじめに悪いことばかり書きましたが、それは主にサイズに関しての話。

フィルムカメラには当てはまらないですが、デジカメというのは画像の処理やフィルム面に相当するセンサー類などもボディに含まれていて改良されていますので、そういう意味ではやはりその時々で「最新のモデル」が一番良いと言っても間違いはないとも思います。

5D Mark Ⅱから5DsR   に変更した直後には、なんとも言えない階調の豊かさに思わず「美しい!」と唸ってしまったのも事実です。

ただボディだけで40万円以上しますので、お気軽にお散歩カメラで〜なんて感覚にはどうしてもならないですね。でかいですし。

■古いレンズで遊びたい、昔レンズの味を楽しみたい人

 

Nikon デジタル一眼レフカメラ Df 50mm f/1.8G Special Editionキット シルバーDFLKSL

Nikon Df

ここでキャノンユーザーの僕が初めてニコンのカメラを登場させました。なぜならこのDFはニコンが作ったかなりとんがったカメラ。

同ランクの似たようなモデルを他のメーカーに探しても見つからない、かなりオリジナリティの高いカメラです。

見た目はかつてのアナログカメラを彷彿とさせるようなボディ。その最大の特徴は「昔のニコンレンズ」を使えること。

フィルム時代からずっとニコン、なんていう人にとっては本当にすばらしい一台だと思います。昔から持っていて、近年デジタルのせいで眠りについていた古〜いレンズを引っ張り出してまた使えるのですから!

そういった古いレンズは、現行のデジ用のレンズとはまた一味も二味も違うようで。

僕の周りにいるDf使いはかなり熱中して使っているようです。昔のレンズは中古で探せばかなり安い値段で手に入りますしね。

僕もニコン派だったら確実に使っているカメラですね。

まとめ

 

かなり独断と偏見、僕の偏っている好みと経験によるセレクトと思って読んでもらえれば、それ合ってます。
カメラというものは、本当に個人の偏向が強く出るもので、万人に対して正解なカメラなんてものは存在しないと思っています。

とがったモノがとがったヒトを惹きつけるメディアがカメラなんでしょう。それは他のどんなプロダクトにも共通して言える事だと思います。

今年四十代に入ったばかりの僕は、写真を始めた時にはフィルムカメラしか存在しなかった世代。

今思えばフィルムカメラの存在感とデジタルカメラのそれは真逆と言えるほどにかけ離れています。

フィルムカメラは一つのモデルをずーっと使い続けるという事が可能でした。例えばライカがM4 ⇨ M5 ⇨ M6 とモデルチェンジを行っても、「おれはM4が好きだから」と言って好きなモデルを使い続ける人たちがいたのです。

フィルムカメラの場合は画質を決定する大きな要素はレンズとフィルムだったので、ボディは「古いけど好きなモデル」を選ぶ事が許されていたというわけです。

ただデジカメになってそういった嗜好性は消滅しました。アナログカメラで言うところのいわゆるフィルム面はデジカメの場合はボディに含まれているわけで、その場合はやはり新しいモデルが古いものよりベターなことは間違いないという考え方にシフトチェンジ。

カメラが家電のひとつになっちゃった、と当時の僕は思いましたね。

今回、2016年2月現在のおすすめデジタルカメラを挙げたわけですが、次は「おすすめのフィルムカメラ」をやりたくなりました。

ニコン・キャノンからライカ・マミヤ・ローライフレックス・タチハラなんてカメラまで…。

独断と偏見と好みと経験で紹介できればと思っています。

 

 

 

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石川拓也 写真家 2016年8月より高知県土佐町に在住。土佐町のウェブサイト「とさちょうものがたり」編集長。https://tosacho.com/

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