11月
30
神さまがくれた花 12
この文章は「神さまがくれた花 11」の続きです。
話の最初に戻るには「神さまがくれた花 1」へ。
12
この部屋に入ってきてからというもの、会話のほぼ全てがこの僧侶のターンだったわけだが、そのせいもあって僕の集中力に限界が近づいていた。
そろそろ終わりにと僕が思っても、言葉を挟めるタイミングがまるでないのだ。小さな事務室で僕は途方にくれた。
2日続けて神様から花をもらい、そのおかげで有無を言わせずこの部屋に連れてこられ、教団の歴史を1時間以上にわたって聞かされている。いやその話はそれなりに興味深かったのだ。ただ正直なところもうクタクタだった。
そのときドアにノックの音が響き、ダダがひょこっと顔を出した。
「そろそろ食事をしに行くか?」渡りに船というのはこういう場合に使うのだろう。
お寺の食堂で、ダダとジャグネシュと3人遅い昼ごはんを食べた。
ジャグネシュは、お前すげーなーすげーなーと繰り返す。どうしたらおれもお前みたいに花もらえるんだよーなんて尋ねてくるのだが、僕にはいくら考えたって答えようもない。
「とにかく明日も一緒にここ、来るからな」
ダダとジャグネシュは決定事項を告げるかのように、そう宣言した。
その宣言すら、昨日とまったく同じものだった。スワミナライはデジャブの神さまなのかもしれないとちょっと思ったが、口にはしなかった。
(つづく)