4月
21

愛してはならない

posted on 4月 21st 2010 in 映画 with 0 Comments

愛してはならない

物心ついてから現在まで、一度でさえ整理上手になれたことがない。

 

毎日ちょっとずつ整理する、使ったモノはすぐしまう、必要ないモノは極力捨てる、そういった能力が完全に欠け落ちているせいで、ときとして思わぬところで探し物に時間を食ったり、逆に予想外のモノが予想外のところでひょっこり現れたりすることがしばしばある。

 

古いネガを探していて、また別のモノに出くわしてしまった。

映画「愛してはならない」ポスター

監督:佐尾井貞之 製作:WAOWAO エキゾチカ

* * *

ポスター撮影は僕が行い、公開は日比谷シャンテにて来月半ばから。

というのは真っ赤なウソで、いや、撮影は僕がしたことは本当だが、それ以外は全く架空の話である。監督である佐尾井貞之も実在しなければ、WAOWAOという会社が映像業界で稼働していればなんらかの問題がありそうだ。

 

実はこれは映画「パレード」(監督:行定勲 製作:WOWOW ショウゲート)の劇中に使用された映画ポスターなのだ。

竹財輝之助くん演じる丸山友彦という青年が出演している映画、という設定だ。ちなみに監督の佐尾井貞之という名前は「さおいさだゆき」→「ゆきさだいさお」である。

まるで韓流のようなタイトルやビジュアルにおける世界観は行定監督の遊び心が基底になっているのだが、それを踏まえ作製する側、デザイナーさんや撮影の僕やキャストの二人、は本気の全力投球である。

事前にデザイナーさんと綿密な打ち合せを済ませ、キャストに詳細な世界観を理解してもらい、最適と思われる機材を準備して、挑む。そういったことは、実際のポスター撮影となんら変わりはない。真剣である。

そんな真剣勝負ででき上がったポスターであるが、劇中にメインで使用されたモノはそれこそ遊びといえるようなサイズではなかった。

正確な寸法はまったく失念してしまったが、そのカットだけは横長で、横6m、縦3mぐらいの大きさがあったのではないだろうか。

日比谷シャンテの壁の、通常は縦位置のポスターが3枚分貼られている広告スペースに、「パレード」美術部ならびに演出部の手で掲げられ撮影された。

映画の中では短いシーンなので、比較的気にならずに流れてしまうのかもしれないが、一度ストーリーがわからなくなるぐらい集中して見ていただきたい。

* * *

映画の劇中に、撮影した写真が登場するというのはいろいろな意味で新鮮で、写真や映画に対する認識をその都度新たにしてくれる。

当たり前の話で恐縮だが、写真と映画(や映像)の違いはひと言で言えば時間軸にある。

1点を凝縮し凍結してその瞬間をつかむ、というのが写真の基本的な性格で、そこに他の瞬間が入り込む余地はない。

対して映画はある瞬間が地続きで他の瞬間にコネクトしていなければ成立しない。

撮影場所や撮影時間がどれだけ離れていようが、ひとつの瞬間は複数の他の瞬間に接続していることを前提としている。

撮影した写真が映画の中に現れるということは、このポスターのようにある1点の瞬間をつかんだ結果であるモノが、再び混沌とした時間軸の渦に放り込まれ、映画という時間軸の中で、新たに他の瞬間と接続し始めるという感覚を与えてくれる。

それが錯覚なのかどうかは横に置いといて、その感覚が普段の僕の写真に対して持つ認識を、少しだけ快く揺らしてくれることは確かなのだ。

 

映画を観ていて、あまりにも美しいシーンに遭遇して、「ここで止まったら良いのに!」と思うことがある。

写真を見ていて、その続きが知りたくて、「これが動いたら良いのに!」と感じることもある。

 

その感覚はまったくネガティブなものではなく、それが写真に対する愛情も映画に対する愛情も、そう思うたびに少しずつ深めてくれるような気がする。どちらも完全であって同時に不完全なのだ。

 

ただ自分勝手なもので、僕が撮った写真が映画に登場する瞬間は、例外なく「ここで止まれ!」と心の中でつぶやいている。

 

ちなみに、探し中のネガはまだ見つかっていない。

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4月
17

カケラ

posted on 4月 17th 2010 in 映画 with 0 Comments

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昨日は寒かった。

4月のこの時期に、真冬のようなこの天気は、寒さが苦手な僕にとっては怒りに似た感情を覚えてしまう。

ひと冬の間に約6回は「もう冬眠したい、、、」と涙声で言ってるほどで、もし人体にそういった機能が装備されていれば、穴の中にやわらかく枯れ葉を詰め、腹一杯たらふく食べたあと、「じゃ、春に」と言い残して永い眠りに入りたい、と不埒な想像をしばしばする。

冬が寒いのは地球のこの辺りでは仕方ないことなので、もう心の準備も乗り切る覚悟もできているのだが、4月も半ばのタイミングでこの寒の戻り、これはちょっと不意打ちが過ぎないか?

長くて寒い冬がようやく終わって、あたたかい春が来た!と一瞬だけぬか喜びさせてからのこの一撃。マラソンを走りきった直後に熱々のコーンポタージュを手渡されたような、そんな不意打ちの重さをこの数日の天気に感じてしまう。

さて。

そんな寒さのなか、SWITCHのB1F、RAINY DAYに行ってきた。

映画監督、安藤モモ子のトークセッションが開催されていたためだ。今日のお相手は写真家の川内倫子さん。

モモ子は数年前、行定勲監督の「遠くの空に消えた」という作品にスタッフとして参加して以来の友人で、当時は助監督をしていた。北海道の大自然での2ヶ月以上に渡るロケで、毎日極端に短い睡眠時間のなか、ちょこまかと同時にパワフルに走り回っている印象が強い。

そのモモ子が、ついに、というより早くも、映画監督としてデビュー作を作ってしまった。

カケラ

もう公開されているので、知っている方も多いはずであるし実際劇場で観賞した方もたくさんいるはずで、内容に関していまさら僕があれこれ書こうなどとは思っていない。

ただ映画のスタッフの末端として、いくつか現場に入った僕の貧しい経験から考えても、一本の映画を作り上げる、ということは途轍もない労力と根気が必要なはずで、肉眼では見えないほどの極小の種子を、あたため、水をやり、光をそそぎ、大樹に育てようとする間断ない愛情と狂気には、モモ子に限った話ではなく映画に携わる人間全般に対して言えることだが、本当に頭が下がる思いである。

「映画とは、子供が産まれて成人するまでの全ての写真と同じぐらいの分量を、1ヶ月やそこらの期間で撮ってしまおうとする行為だ」

とはモモ子の父上である奥田瑛二監督の言葉であるが、これほど極度に濃密な人間的作業(もしくは非人間的作業)を志向し完遂するためには、それを実現する映画監督という一個人に、愛情と同量の狂気が要求されると思われる。

多くの映画人がひとでなしと言われる所以であるのだろう。

トークセッションはRAINY DAY独特のアットホームな雰囲気であたたかく盛り上がり、時間をだいぶオーバーして終了した。

モモ子はまたここでファンを増やしたようだし、川内さんもとても大人なお話をされていて魅力的だった。

トークの中で川内さんも言っておられたのだが、観賞した人のなかには登場人物がモモ子自身に思えてきてしかたないという感想が少なからずあったようだ。

そんな希有な感想を持たせる映画が黙殺されてしまうわけがなく、こういった会場でモモ子と「カケラ」を知り、映画館に駆け込む人もたくさんいるのだという。

余談になるが、「カケラ」には僕の写真がチョイ役で出演している。舞台の装飾の一部分なので、シーンを追いながら見つけ出すのは難儀なことだと思うが、少しでも心にひっかかってくれたらうれしいと思う。

気の早い話で、周囲からはもうモモ子の次作に対する期待が膨らんでいるようだ。

が、ひとつだけ難を申せば、モモ子よ、酔っぱらって僕の名前を間違えるのはそろそろやめてもらえないだろうか。

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4月
14

パレードが賞をもらったらしい | Parade

posted on 4月 14th 2010 in 映画 with 0 Comments

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行定勲監督の映画「パレード」がベルリン国際映画祭で賞をもらったというニュースが入ってきた。

撮影に参加させてもらった者として非常に嬉しい。

撮影は2009年だった。室内のシーンが非常に多い映画で、来る日も来る日も東映のスタジオ内に建てられたマンションの一室の中で撮影していた。

映画内のシーンが変わっても撮影場所がほとんど変わらないので、撮影が終わってもこの映画の全体像がほとんど想像できなかった。

完成一歩手前の段階で、試写を見せてもらって初めて、「こんな映画だったのか!」と知った。

それもまた心地よい驚きなのであった。

 

僕の仕事は広告宣伝用の写真撮影だ。

メインはポスター撮影。

映画本編の撮影が終わり頃になって、やっと時間をもらいポスター撮影を行ったのであった。

この映画、観た人はご存知と思うのだが、5人の若者の群像劇。

藤原竜也、貫地谷しほり、香里奈、小出恵介、林遣都の5人がそれぞれ重要な役割を演じている。

この役者たちが全員揃わないとポスターが撮れない。そして映画自体の撮影が終わり間際になる頃まで、そのタイミングが全くなかったのだ。

 

もっと言うと、5人揃ったら揃ったで現場はなかなか壮観なんである。

個性の強い5人が揃う。そうすると必然的に5人のマネージャーやヘアメイクなどがすごい人数になる。

もちろん現場には照明さんたちや美術さんたちもいて協力してもらっているので、その渦中の僕とデザイナー氏の二人はなかなかな人数の真ん中で撮影をすることになるのだ。

そうやってこのポスターは完成した。

* * *

試写室で完成一歩手前のものを観たときは、言葉は合っているかわからないが、非常に立体的な映画になったなと感動した。

バラバラに撮っていたひとつひとつのシーンが有機的につながり、音響などの効果がとても聞いていて、これが映画を作るということなんだと実感させていただいた。

映画の魔力、ってやつに首根っこを押さえつけられたような気がしたのだ。

こうして映画に人生を侵食されていく人間がまたひとり出来上がるのだ。

 

* * *

Though it’s a topic little while ago,  a movie “Parade” (directed by Isao Yukisada) …

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